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2021年 07月 20日 会社設立

役員社宅による会社ならではの節税

法人の節税方法の1つに「役員社宅」を活用する方法があります。
特に床面積132平方メートル以下(木造以外は99平方メートル以下) の社宅にあたる場合、役員にとってかなりよい条件で社宅を利用することが可能です。

 

役員社宅とは

役員社宅とは、会社から役員に貸し付ける住宅のことです。
会社名義の建物を役員に貸すパターンと、会社が賃貸契約を結んだ住宅を役員に転貸するパターンがありますが、今回お伝えする節税方法は、両方とも使えます。
現在、賃貸にお住まいの経営者であれば、後者のパターンが低コストで利用しやすい方法になります。

役員社宅の節税メリット

社宅を役員にタダ・低い対価で貸すと、会社から役員に経済的な利益を与えたとして、税法ではその利益に相当する額を「給与」として扱います。
給与扱いとなった金額は、役員個人の所得税や住民税の課税対象になります。
しかし、役員が会社に一定の賃料を支払えば、この給与課税を回避することができます。
しかもこの一定の賃料には計算方法があり、通常の家賃よりもかなり安くなるしくみです。
これによって
・住宅手当等を別途もらうよりも役員個人の税負担がない
・役員個人が契約して家賃を支払うよりも役員個人の出費が少なく、会社の節税にもなる
といったメリットがあります。

役員社宅にいくら払えば給与課税されないか

具体的にいくら賃料を支払えば給与課税が行われないかというと、その社宅が「小規模住宅」にあたるかどうかで変わります。
以下、賃料の計算方法を解説します。

メリットの大きい「小規模住宅」

床面積132平方メートル以下(木造以外は99平方メートル以下)の小規模な社宅では、次の1~3の金額の合計となります。(同通達36-41)

 

1:その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×0.2%
2:12円×当該家屋の総床面積(平方メートル)/3.3
3:その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%

 

1~3の合計は、実際の家賃の1割ほどになるといわれています。
具体的な金額をあてはめてみましょう。
たとえば月20万円の賃貸住宅を社宅として会社が借りて、それを経営者に貸したとします。
仮に上記の1~3の合計が2万円だった場合、経営者は毎月会社に2万円を支払えば、社宅に関して給与課税が生じることはありません。
もし会社にまったく支払わない場合は、毎月2万円の給与課税が生じます。
支払っているけれどその金額が2万円未満であれば、2万円との差額が給与課税の対象になります。
一方、会社側はどうなるかというと、毎月支払う20万円の家賃を損金に算入することができます。
ただし経営者から支払われる賃料が収益扱いとなるため、2万円を受け取った場合、実質的な経費は18万円になります。
会社名義の社宅であれば、固定資産税などの管理コストや建物の減価償却費が会社の経費になります。

小規模でない住宅

小規模な住宅でないものは、次の計算式となります。(同通達36-40)

 

(A+B)×12分の1

 

A:その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×12%(※)
B:その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%
(※)木造以外は10%

 

なお、社宅が転貸のパターンであれば、会社が支払っている家賃の50%と上記の金額(AとBの合計×12分の1)のいずれか大きい金額となります。
言い換えると、小規模でない住宅で、かつ転貸のときは、少なくとも家賃の半分以上を役員が負担しなければ給与課税の対象になってしまうということです。
床面積の違いで、扱いがまるで変わってしまうことに注意してください。

課税標準額や床面積の調べ方

「課税標準額」や「床面積」については、社宅が会社名義であれば、市町村から会社に送られてくる固定資産税の課税明細書で確認できます。
会社が外部から借りている場合は、市町村に評価証明書の発行を申請する方法が一般的です。
申請には、本人確認書類や賃貸契約書、発行手数料などが必要になりますが、詳細は申請先の市町村のホームページで確認しましょう。

例外となる「豪華社宅」とは

一般的な社宅よりも豪華な社宅は、上記の方法で計算した一定の賃料ではなく、通常支払うべき家賃を支払わなければ給与課税の対象となります。
豪華社宅については、国税庁のタックスアンサーで次のように説明されています。

 

【床面積が240平方メートル超】
“取得価額、支払賃貸料の額、内外装の状況等各種の要素を総合勘案して判定します。”

 

【床面積が240平方メートル以下】
“一般に貸与されている住宅等に設置されていないプール等の設備や役員個人のし好を著しく反映した設備等を有するものについては、いわゆる豪華社宅に該当することとなります。”

 

(引用)国税庁タックスアンサーNo.2600